クライングフリーマン

作 小池一夫 画 池上遼一


コミックス化された初年は1987年、その後何度も形を変えて発行されています。
映画とアニメのDVD化に合わせて改めて発売されたものを読みました。
(漫画スーパーワイド「クライングフリーマン」 全4巻 2004.12.12初版)
映画化されたのは全体の2割くらいの部分までです。
映画の後の部分で、主人公火野村窯は黄太陽(ロンタイアン)の名前を与えられ、
以後黄太陽、コードネーム:フリーマンと名乗ることになります。


<非日常の彼方へ>
映画もかなりビックリ映像と展開がありましたが、原作であるこの劇画そのものが、口をあんぐり開けてしまうような世界です。
絵柄や設定は非常にシリアスだと思うのですが、それぞれがあまりにも極端なので作者の意図とは多分違うところで笑ってしまいます。
ありえない、そんなわけない、の連続ですが、いえ、そこが小池&池上両氏の真骨頂ですよね、きっと。
というわけで、仰天させてくれるこのとんでもない世界、ツッコミながら読むと大変よろしいかと思います^^;。

<なぜに脱ぐ>
この作品で最も印象が強いのは「とにかく脱ぐ。そして刺青が多い。」この二点です。
Hシーンも(無駄に)多いですが、アクションでもばんばん脱ぐところが脱力というか、笑うというか。
威嚇の意味も含めて鍛え上げた体および刺青を見せるのはわかります。
フリーマン=全身に竜の刺青、これもいいんですが、しかし、至極簡単にパンツ一枚、そしてそのパンツも平気で脱ぐ。
せめてパンツくらい穿いていれば〜?と、まぁ思うのですが、毎度のことなのでだんだん慣れてしまい「また脱いでるよ〜(笑)」という状態。(いいのかこれで。)

<でも服装がなかなか楽しい>
長い物語である分、色々な服装も見せてくれます。
中国服の長衣・短衣、和服(なぜかこれが見たこともないような悪趣味な柄)、作務衣、ホテルのベルボーイ姿、中国の伝統的婚礼衣装、ダブルのスーツ、ウエットスーツ、浴衣、車夫姿、土方姿、マフィアのようなロングコートにマフラーと帽子。
全体としてはチャイナ服とスーツが多いです(着衣としては・笑)。


<迷台詞の数々>
とにかくキャラクターたちがすごい個性の持ち主ばかりなので、台詞も強烈です。
まずはフリーマンご本人から。

「こンな私でよかったら。」(絵霧に”お誘い”を受けて)
・・・・・謙虚です。

「竜も痛いと哭いているッ」(竜の刺青を敵の遺児に叩かせながら)
え、演歌・・・・・・。

次、黄徳源:ホワン デ ユアン(窯を導き、後に右腕となる。映画では黄=ワン)。
「おまえには花が似合う。花の似合う男は千人にひとりだ。」
・・・・・さらーっと言ってのけるキミもすごいぞ。


敵はこんなこと言ってます。

「愛とは激しいものだッ !! 燃えるものだッ !! 
生命と生命の結合であり 魂の触れ合いだッ !!」(雄首冬獄
:おしゅとうごく
あ、熱いですね・・・・・。しかも鉄柱を捻じ曲げながら。.

「誇りはないのッ !!」(ニーナ・ヘブン)
・・・・・部屋中妄想でいっぱいのキミが言う台詞かい・・・・・・。

「私の命の炎(ほむら)は消ゆることがないッ」(館丘眺湖
:たておかちょうこ
大河ドラマみたいですわ!ステキ!


<ちょっとぐっと来たところ>(コネタバレ)
物語の終盤、正体を明かしたフリーマンが「記念にサインしてもらえますか?」と言われてハハハハ、と笑った後、色紙にサインペンでさらさらと竜の絵を描きます。
(元陶芸家で絵付けもしていたので絵心があるのですね)
そして書いた文字が「我是黄太陽(ウォーシィロンタイアン)」。

絵霧を組織に連れてくる前に「火野村窯の名も、窯も、何もかも捨てていけ。」と言われ、絵霧のために過去を捨てた彼が窯の名を名乗ることはもうなかったはずですし、組織の後継者となった彼が「自分は黄太陽だ。組織の長だ。」と自覚を深めていったこともうなずけます。
でも、この文字を見た時に改めて「彼はもう黄太陽そのものなんだ。」と思いました。
運命を受け入れて進んでいく彼の決意に、なんだかちょっとぐっと来ました。



<参考>
映画・アニメーションのDVDについてはこちら → 東映ビデオ 
漫画についてはこちら → 小池書院
マークが見たアニメーションはこちらと思われます。 → IMDb