心に残った映画


2002  SPIRIT Stallion of the Cimarron  スピリット

アメリカ大陸西部、シマロンを舞台にした野生馬の物語。
ストーリー、テーマ、映像、音楽、全てが素晴らしいアニメーション映画です。

1.テーマ
野生馬の主人公「僕」(スピリットという名で呼ばれているわけではありません)が自然の中で生き、西部開拓者たちに捕らわれてもなお、決して服従しない姿が、インディアン=ネイティブアメリカンと実に重なりました。そういう意図がこめられていたと思います。

2.彼を助け、友情を育むインディアンの青年が、マークに見えて仕方ありません。
顔の造作は違いますが、「ラコタ族のリトルクリーク」が「パコマ族のブラックフェザー」や「モホーク族のマニ」に重なります。
若く、無邪気な感じはブラックフェザーに、肌の色が赤銅色であるところはマニに。
生き物に対する姿勢、軽やかな身のこなし、マークそっくりです。
声がマークだったらなぁぁぁぁぁぁと思いました。

3.アニメーションとしての素晴らしさ
年々進歩するものではありましょうが、とにかく自分が見た中での最高傑作です。
実写じゃないの!?と思うような映像、またアニメーションならではの映像、全編が素晴らしい映像で埋め尽くされています。

4.音楽と歌
これもまた素晴らしい。音楽はオーケストラによるもの、歌は主人公の気持ちを代弁する歌詞とメロディ、歌うのはブライアン・アダムスです。
捕らわれ、故郷を後にした「僕」の気持ちを歌う一曲は、故郷を追われたインディアンたちのものでもあるなぁ、と感じました。(ここでもマニに重なります。)

5.既視感
あぁこれ! これは思い描いていたものだ! という場面がふたつありました。
a, 草原の描写。
 「草の海」(マークとブランドン 3)で描きたかったのはこういう草原だったんだよー!
 (でも技術がなくてこうは描けなかった・・・・しくしく;;)
b, インディアンの青年が馬と戯れる場面、ぎゅっと抱きつく場面。
 「Horse Whisperer」(ジェヴォーダンの獣1)でイメージしていたのはこれなのー!

6.「Black Beauty=黒馬物語」と「SPIRIT=魂」
黒馬物語は挿絵がとても美しく、今でも大切にしている本です。
子供の頃から馬が好きだった自分には、非常に入り込みやすい物語でしたが、
牧場で生まれ、調教を受け、人とともに生きていく馬の話です。
こちらは誰にも束縛されない、自然の中で自分の力で生きていく野生馬の話。
どちらにより魅力を感じるかといえば、やはり後者・・・・・かな。
(「黒馬物語」も1994年製作の作品があるので、見てみたいと思います。)


さらに解説 → 読む? (具体的なネタバレはなし、内面部分の解説です)



2001  The Unsaid  沈黙の行方

主演・製作総指揮:アンディ・ガルシア、共演:ヴィンセント・カーシーザー。

マイケル・ハンター(ガルシア)は息子を自殺で失い、立ち直れないでいる。妻や娘との関係もぎくしゃくしたものになり、心理学者としての情熱も失いかけていた。
その彼の元に、殺人事件のトラウマをもつ少年、トミー(ヴィンセント・カーシーザー)のカウンセリングの依頼が来る。一見何の問題もなく見えるトミーだったが、隠された何かを感じるマイケル・・・・・。

見ようと思ったきっかけは、共演のヴィンセントを他で知っていて、彼が出ているからでしたが、期待以上の作品でした。
ジャンルとしては心理サスペンス、だと思います。
謎解き、衝撃的内容が含まれています。
ですが、これはむしろ人間ドラマだと思いました。
登場人物たちが抱える心の傷の深さ、苦しみがしっかりと描かれていています。
一瞬の映像や、ちょっとした言葉や表情から、ずーんと深いところに響くものがたくさんありました。
描写のひとつひとつが、ああ、わかる!と共感できます。
そして共感ゆえにこれが痛い。
でも辛いだけの映画というわけではなく、人が人に寄り添おうとする優しさ、温かさも作品にこめられています。

ガルシアはこれを作るにあたり、大人として、父親として、訴えたいものがあったと思います。大人へのメッセージ、子供へのメッセージを強く感じました。


さらに解説 → 読む? (ネタバレは描写については有り。謎解きについてはありません)




1987  La Bamba  ラ・バンバ

1958年にデビュー、翌1959年飛行機事故で亡くなったロックンローラー、リッチー・ヴァレンスを描いた青春映画。彼のヒット曲をちりばめた音楽映画であると同時に、家族の愛と葛藤が丁寧に描かれています。

< リッチーを演じたルー・ダイアモンド・フィリップスについて >
彼のことは知ってはいたものの、この映画を見てルーの素晴らしさがよくわかりました。ルー演じるリッチーは健気で繊細で、優しくて、表情のひとつひとつが自然です。演技というより、リッチーそのものに思えました。

どの場面も良いのですが、取り上げるとするとレコーディング場面です。
3曲が録音風景としてフルコーラスで流れます(それぞれ2分程度で短めの曲です)。
その時のルーはただただ素晴らしいです。
情感がこもっていて、気持ちが伝わってきて、ある一曲では涙をこぼすのではないかと思えるほど切ない表情をしています。


付記 : 兄の心の内(ほぼ心理分析)→ 読む? ( 注 : 暗い、重い、長いです )